竹富島では、ゴミはゴミ集積所に運ばれます。わりと島の中心部に近い所にあるのですが、もちろん観 光コースではないし、目立たない場所でもあり、その場所を実際に見たことのある観光客はそう多くはないと思います。
自然と町並みの美しい島。竹富島。
そんなフレーズに最も似つかわしくないゴミ。これが現在竹富島では最も大きなと言っても過言ではないくらいの問題になっています。しかし、敢えてここにその場所の写真は載せません。
野積みされ、燃やされるゴミ。山のような空き缶。群がるカラス。
その言葉から想像される通りの光景が島の中にあります。百聞は一見に如かずと言いますが、私はみなさんにその場所 を見てもらいたいのではなく、考えてもらいたい問題だと思うのです。
ゴミ問題は、もちろん竹富に限ったことでもないし、都会でも地方でも人間がまとまって住む場所であれば、どこでもすぐに問題になるこ とです。人が物を食べなければ生きていけない生き物である限り、暑い時にはのどを潤さなければいけない動物である限り決してなくならな い問題の一つです。
そして、当然竹富島にもそれはあります。しかし、竹富島のそれが都会などでのゴミ問題と違うのは、竹富島が離島であるということです。 都会であれば言葉は悪いですが、どこか別の場所へ持っていってしまえば、根本的な解決にはなりませんが、とりあえずはそこからゴミはなくなります。
しかし、離島の場合はそこからどこか別の場所へ持っていくということ自体が大変なことなのです。たとえきちんとしたゴミ処分場が近く の島にあったとしても、そこに運んで行くということが大変に困難なことなのです。
竹富島では、以前はゴミは全て一緒くたにして燃やしていました。島のある場所に集めて、文字通り燃やしていました。しかし、これがダ イオキシン問題などで、せめて空き缶だけは資源ゴミとして別に収拾することになりました。
その結果がダンプカーほどの大きさもある空き缶の山です。それはものすごい量です。この空き缶は、空き缶収集専門の船があって、その船が八重山の島を回って、空き缶を集めて石垣島に持っていくのです。それだけ聞くと、何も問題がなさそうなのですが、 それなら何故こんなにたくさんの空き缶が野積みされているのでしょうか。
それは、空き缶収集船が3週間に1回しか来ないからなのです。竹富島は暑い島です。夏はとくに観光客も多いし、当然缶ジュースも缶ビールもたくさん売 れます。1日にどれだけ売れるのか想像もつきませんが、ともかくものすごい量であることは確かでしょう。それが、3週間に1回しか回収に来ないのであれば、この空き缶の山は当然の結果とも言えます。
島の人たちは、何も好き好んでこんなゴミの山を放っておいているわけではありません。なんとかしたいとは誰しもが思っています。解決のための方法は、いくつか考えられます。例えば実際に観光地などで行われているデポジット制度。1缶につき10円か20円をゴミ 収集のための費用として上乗せして売る制度。いくつかの事例を見る限り何らかの効果はあるようです。あるいは、観光客の人になるべく缶を買わないようにしてもらう、買ったときは持ち帰ってもらうようにする、などでしょうか。
しかし、それらはどの方法にしても誰かしらに犠牲を強いることになります。缶ジュースを買わないというのは、観光客にとっては不可能 に近いことです。代わりにペットボトルを買えばいいというのでは正に屁理屈ですし、買ったら持ち帰れと言わんばかりにゴミ箱をなくすこ とになったら、それは結局道ばたのゴミを増やすだけのことでしょう。
結局、一番良いのは、ゴミ回収船にもっとたくさん来てもらう以外にないでしょう。そして、私たち観光客が、離島で のゴミ処理に対する意識を高める以外にないのではないでしょうか。
しかし、それは言葉にすると簡単ですが、実際は大変なことだと思います。行政に訴えかけるということも一朝一夕でできることではありませんし 、真夏の炎天下、暑くて喉が乾いたときに缶ジュースや缶ビールを飲むなと言う方が無理があります。島の人にとっても、飲み物の売り上げ が減るのは死活問題にもなりかねません。
だから、私としてもこの問題に対してどうすればよいという答えは見いだせませんし、安易なことも言えません。ただ、離島を訪れる観光客として、美しい島の陰にはこうゆう現実の問題があるのだということを、少しでも頭の片隅においておきたいと思うのみです。
(2001. 3.17 記)